Google Cloud Next Tokyo ‘25で得たもの〜ワークショップ&Expo編〜

はじめに

こんにちは!
NILTOチームでインフラエンジニアをしている太田です。

2025年8月5日(火曜日)と6日(水曜日)の2日間、東京ビッグサイトにて開催された、Google Cloud Next Tokyo '25に参加してきました。

会場では、カテゴリごとに分かれた多数のセッションが聴講できるほか、Expoでの展示ブース、認定資格者ラウンジといったコミュニケーションのスペースなど、さまざまな催しものが楽しめました。

本記事では、太田が受けたスペシャルセッションと、Expoを周った時の様子についてレポートします。Expoについては、GIMLEチームの若林さんと一緒に回ったので、そのようすを書いてもらいました。

組織変革を実現!Google式 10X Innovation Culture ワークショップ

セッション受講のきっかけ

私がこのワークショップに参加しようと思ったきっかけは、Google Cloudの公式ユーザーコミュニティである「Jagu'e'r(ジャガー)」での活動です。

私はJagu'e'rの「企業カルチャーとイノベーションを考える分科会」に所属しているのですが、そこの分科会メンバーが実際に「10X Innovation Culture Program」を体験されていました。その体験談を伺う中でプログラムへの関心が深まっていました。そんな中、今回のNext Tokyo '25で、まさにその方々が登壇されることを知りました。

参加したメンバーが、プログラムを通じて何を感じ、どのように変革に取り組んでいるのかを直接聞ける絶好の機会だと感じ、参加を決めました。

10X Innovation Culture Programとは?

「10X Innovation Culture Program」とは、Googleが提供する、イノベーションを生み出す組織文化の醸成を目的としたプログラムです。単にGoogleの文化を学ぶだけでなく、自社の状況に合わせて実践・導入していくことを目指します。

このプログラムの根幹にあるのが、「10X(テンエックス)」つまり「10倍」の成果を目指すという考え方です。

セッションでは、「10%の改善よりも、10倍の改善を目指す方が、時にやさしい」と説明されていました。なぜなら、10倍という大きな目標は、既存のやり方の延長線上では達成できず、問題を根本から見つめ直し、全く新しいアプローチを生み出すきっかけとなるからです。

そして、この「10X」なイノベーションが生まれる職場環境の素地として、6つの要素が挙げられていました 。

  • 多様性の尊重: 多様な考え方や背景を持つメンバーが集まることで、イノベーションが促進されます。一人ひとりが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、個人の意見や働き方を尊重するカルチャーと、多様な働き方をサポートする制度やルールが不可欠です。
  • ビジョン共有: 組織が目指す目標・目的などの方向性や解決すべき課題を全員で共有し、認識を合わせます。これにより、イノベーションの向かうべき道筋が明確になります。
  • 自主性: 社員が自身の役割や仕事の進め方を自ら定義し、意思決定に基づいて行動することです。Googleでは、有名な「20%ルール」のように、業務時間の一部を通常業務とは異なる業務に充ててよい制度があり、GmailやGoogleマップといったサービスもこの制度から生まれたそうです。
  • 内発的動機づけ: 「やらされる」のではなく、自身の内側から湧き出るような「やりたい」という動機づけです。自身の成長や目標達成への信念が、持続的な成果へと繋がります。
  • リスクテイク: 心理的安全性が高い環境では、失敗を恐れずに発言や質問をしたり、新しいアイデアを試したりできます。マネージャー自身が率先して失敗から学ぶ姿勢を見せ、挑戦できる土台を作ることが重要です。
  • つながりとコラボレーション: 多様なメンバーが集まったグループは、同じ考え方を持つメンバーからなるグループをしのぐ成果を出すという研究結果があります。部署や役職の垣根を越えたつながりを組織としてサポートすることが大切です。

パネルディスカッション

プログラムの説明が終わった後は、実際に「10X Innovation Culture Program」に参加した企業のメンバーによるパネルディスカッションが行われました。

登壇者からは、プログラムを受けて自社に持ち帰り、イノベーション文化を浸透させるために試行錯誤したリアルな体験談が語られました。特に印象的だったのは、変革のはじめの一歩です。ある企業では上層部の強力なリーダーシップのもとトップダウンで、また別の企業では現場の有志が集まってボトムアップで、というようにアプローチはさまざまでした。それぞれの手法にメリット・デメリットがあり、組織の状況に合わせて進め方を選ぶことの重要性が伝わりました。

また、ディスカッションの中で「それはGoogleだからできることだ」という声にどう向き合ったか、という話題が上がりました。これは新しい取り組みを進める上で多くの組織が直面する課題だと思います。キーメッセージとして、最初から完璧を目指すのではなく、まずは社内の「ガイド」として取り入れ、小さく試しながら徐々に浸透させていくことの重要性が語られていました。

私自身、チームの一員としてボトムアップで改善を進めることが多いので、同じようにプログラムを進められた方々の話には非常に親近感が湧きました。同時に「Googleだから」というバイアスを捨て、自分たちの組織に合った形でカルチャー変革を進めていくことの大切さを再認識できた、貴重なディスカッションでした。

ワークショップ

実際のプログラムは、ヒアリングや参加メンバーの調整などの準備、現在の組織の状態を分析するアセスメント、ワークショップの実施、という流れで進められます 。今回のセッションでは、6つの要素のうち「内発的動機づけ」をテーマとして、ワークショップの部分を体験することができました。

ワークショップは7〜8名のチームに分かれて自己紹介をした後、配布されたフォーマットを使って個人ワークを行い、その内容をチームで共有するという流れで進みました。

ワークショップの個人ワーク
ワークショップの個人ワーク

フォーマットは「人」「組織」「ツール」の3つの観点から、テーマに対して「始めること」「止めること」「続けること」を書き出す形式です。このフレームワークに沿ってアイデアを出す中で、私自身、いくつかの気づきがありました。

まず、「人」について考える際、「そもそも'動機づけ'という言葉の定義が自分の中で曖昧だな」という点に気づきました。言葉の意味を自分なりに解釈し、腹落ちさせることが、行動を考える上での第一歩だと感じました。また、「組織」や「ツール」の欄には、メンバーの内発的動機づけをいかにして見える化し、チームで共有するか、という内容を無意識に書いていたようです。個人の「やりたい」という気持ちを組織としてどう引き出し、サポートしていくかに関心があるのだと再認識した、そんなスペシャルセッションでした!

(記:太田)

Expoのようす

Expo会場に足を踏み入れると、まず圧倒されたのはその熱気と来場者の多さでした。

会場のようす
会場のようす

東京ビッグサイト南館の広いフロアに、Googleやパートナー企業のブースがぎっしりと並び、生成AIを中心にした最新ソリューションが数多く展示されていました。

特に目立っていたのは AIエージェント をテーマにした展示です。10分でAIエージェントが作れるハンズオンや、関連セッションも非常に多かったです。AIエージェントはまさに今年のトレンドだと実感できました。
他にもエージェント同士がデータや機能をやり取りする A2A(Agent to Agent) の仕組みや、外部データベースを参照してより正確な回答を導き出す RAG(Retrieval-Augmented Generation) のユースケースも数多く紹介されていました。
さらに、異なるAIツールやサービスを統合的に扱うための MCP(Model Context Protocol) といった新しい共通仕様も話題に上がっていました。

どの展示も「体験」を通して理解できる工夫がされており、リアルタイム翻訳や顧客対応のデモでは、実際に生成AIがどのように業務を変革し得るのかを肌で感じられました。会場全体が「AI時代の次の当たり前」を一斉に提示しているようで、まさに未来を先取りする空間だったと思います。

会場の通路にはスタンプラリー形式でブースを巡れる仕掛けもあり、楽しみながら各社のサービスに触れられる工夫がされていました。

スタンプラリーでいただいたグッズたち
スタンプラリーでいただいたグッズたち

また、認定資格者ラウンジも設けられており、GCP認定を持つ方々が集まり交流している様子も見受けられました。

選ばれし者が入れる場所
選ばれし者が入れる場所

(記:若林)

Jagu’e’rブース

上記にも出てきたユーザーコミュニティ「Jagu'e'r」もブースを出展していました。

Jagu'e'rにはクラウドネイティブやデータ分析、AIなど、さまざまなテーマで活動する「分科会」があります。ブースでは、普段なかなかお会いできない他の分科会の方や、創設メンバーの方とも直接お会いすることができ、コミュニティのつながりを改めて感じられる貴重な時間だったと思います。

私も少しだけブースに立ち、来場者の方への呼び込みをお手伝いさせていただいたのですが、その際に記念のオリジナルTシャツをいただきました。後日聞いた話では、2日間で500名近い方がブースを訪れてくれたそうで、Jagu'e'rの盛り上がりを感じますね!

いただいたJagu'e'r Tシャツ
いただいたJagu'e'r Tシャツ

(記:太田)

おわりに

ここ数年流れは続いていますが、Google Cloud Next Tokyo '25全体を通じて、やはり生成AI・AIエージェントに関する発表や展示がほとんどでした。NILTOでも最近MCPサーバーのテクニカルプレビューが始まりましたし、ついていくのはなかなか大変ですが、日々急速に進化するAIの流れはこれからも加速していくんだろうなぁと感じました。

本イベントへの参加を通じて、一人のエンジニアとしてとても多くの刺激を受けましたし、大変楽しい2日間となりました。また来年もぜひ来たいですね!

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

(記:太田)