木村の re:Invent 2022 3 日目: 自動車とクラウド

こんにちは!GIMLE チームで MLOps サービスを担当している木村です。

3 日目は、3 つのチョークトークに参加してきました。
今日は比較的時間に余裕があったこともあり、セッションの合間に会場の端から端まで歩いて移動をしてみました。ラスベガスならではの派手さやアメリカらしさを感じられる光景がとても新鮮で、歩いているだけでも楽しいです。

今日は、自動車とクラウドをテーマにしたチョークトークに参加してきました。自分は子供の頃から車好きなこともあり、自動車業界でのクラウド活用にとても興味を持っています。

ということで今日の内容は、「Managing connected vehicle data with AWS IoT and ML」と「Connected vehicle design patterns with AWS IoT and MQTT」という 2 つのチョークトークの内容を織り交ぜて、「自動車とクラウド」をテーマに書いてみようと思います。

自動車を IoT デバイスとして接続する

昨日のブログの冒頭でも少し書きましたが、最近インターネットに接続して管理できる自動車が増えました。スマートフォンを使いエンジンをかけてエアコンで車内を温めたり、走行履歴や車両の状態の確認ができたり、はたまた自動運転用プログラムの配信や自動車の機能のアップデートができたりと、自動車の目覚ましい進化を日々目の当たりにしています。

これらの技術の根底はスマート家電と同じで、自動車を IoT デバイスとして捉えてインターネットに接続できるようにしています。 クラウド側も同じく、テレメトリデータの取り込みと管理、エッジに配信するイメージとセンサー値の予測、デバイスのライフサイクルとフリートマネジメント、ソフトウェアの OAT(Over The Air)更新など、自動車を IoT デバイスとして扱うための環境構築が必要になってきます。 では、どのような考え方で環境を構築すればよいでしょうか?

必要な機能と構築アプローチ

先程挙げた自動車を快適に利用するための環境を構築するにあたり、ざっくりと下記項目を考えることになります。

  • 接続された車両のエッジ処理と IoT/ML
  • 通信およびストリーミングモジュール
  • バックエンド / クラウド上のデータ及び分析パイプライン

上記を含むクラウドを考えた場合の例として、こんな構成図が紹介されました。

  • 自動車のデータ収集とエッジ処理には、AWS IoT シリーズをフル活用します。AWS IoT の Greengrass、SiteWise、Core、 FreeRTOS、Analytics などを組み合わせて構築します。
  • リアルタイムデータを管理する際は、AWS Glue を利用します。Glue ではさまざまなデータ・タイプを取得し、分析または ML ツールへの入力のための前処理を実施します。
  • Amazon SageMaker でデータ分析や学習モデル作成をおこない、自動車へ学習モデルをデプロイできるようにしています。

自動車を IoT デバイスと捉えてクラウドに接続し、データ蓄積とデータ分析ができる環境をどのように実現すればよいかがわかりました。 自動車に取り付けたセンサーやカメラ情報をもとに、データ分析や機械学習をおこない、自動車の自動運転システムに役立てるような場面において、とても良い構成だと感じます。

そして 2 つ目のセッションでは、より深堀りした項目に焦点を当てて、構成を考えるセッションに参加することができました。

さらなる課題の発見

2 つ目のセッションの冒頭にて、次のような課題を挙げられました。

  • オンボーディングとプロビジョニングの自動化
  • スケーラビリティと弾力性
  • 高遅延で信頼性の低いネットワーク
  • 瞬時双方向通信
  • 車両のモデリングと均一性
  • 自動運転車データストリーム
  • プラットフォームのセキュリティとデータプライバシー

会場では時間が許す限り、上記課題をどのように解決すればよいか、参加者が回答をしながら構築例が示されました。
ここからは 5 つの観点から細部に焦点を当てた構成図の例を記載します。先程の構成図と見比べながら、どのような構成にすると課題が解決できるか考えてみるのも面白いかもしれません。

課題1. 安全な車両のオンボーディング

1 つ目は、自動車とクラウドを安全に接続する方法です。
これを考える際に登壇者から下記の質問をされました。

  • 車両とクラウドの間の相互信頼を確立する方法は?
  • 秘密の資格情報を車両に安全にデプロイする方法は?

構成図では mTLS を使った手法が紹介されています。
昨日のブログで紹介した、「ゼロトラスト」の考え方がしっかり盛り込まれています。

課題2. 接続性と制御

2 つ目は、自動車とクラウドの間の接続性や制御に関する部分です。
登壇者からの質問は下記です。

  • 車両データを安全に取り込む方法は?
  • 断続的な接続でも車両にコマンドを安全に送信する方法は?

このあたりは基本的に IoT Core や IoT topic を使った組み合わせになるようです。
コマンドの送信も IoT Core から実施します。

課題3. ソフトウェアとデータの抽象化

3 つ目は、どのようにデータを取得するのか、またデータをクラウド側でどのように扱うかという部分です。
登壇者からの質問は下記です。

  • 独自の ECU データフォーマットとネットワーク(CAN)からデータを抽出する方法は?
  • データ分析、ダッシュボード、およびアプリケーションの車両データをモデル化する方法は?

構成図では FleetWise Edge Agent を利用した方法が紹介されました。これは 2022 年 9 月 27 日に公開された機能で、車両データをほぼリアルタイムで収集・変換し、クラウドに転送し、フリート車両に関するインサイトを得られるサービスです。

課題4. オペレーション

4 つ目は、運用に関する部分です。
登壇者からの質問は下記です。

  • 個人またはフリート全体の問題を迅速に監視および対応する方法は?
  • プラットフォームにアップデートを安全にデプロイする方法は?

構成図では IoT Device Management を使った方法が紹介されました。

課題5. アプリケーション

5 つ目は、顧客体験にもつながるアプリケーションに関する部分です。
登壇者からの質問は下記です。

  • 顧客より先に問題を発見する方法は?
  • パーソナライズされた顧客体験を開発する方法は?

構成図では SageMaker を使った方法が紹介されました。
データを活用して予測をおこなえるアプリケーションの開発を実施することで、顧客体験が向上します。

便利な自動車を目指して

今日のセッションで、改めて自動車の進化を感じました。自動車のセンサーデータをクラウドに取り込み処理させることで、故障の予測や自動運転技術の向上など、自動車がより便利なものへ変わろうとしています。
今後、自動車に関連するプロジェクトにも関われるといいなと強く感じました。