こんにちは、クラウドネイティブ技術部の福島です。AWS re:Invent 2025に参加してきました。
普段の業務では、ClaudeやOpenAI、Geminiなどを使ってAIエージェントを構築し、お客様のDXに取り組んでいます。学生時代に機械学習や自然言語処理を研究していたこともあり、AI関連の新しいクラウド情報を得られるという期待を持ってre:Inventに参加しました。
Frontier Agentsとは
Keynoteで最も衝撃を受けたのは、Kiro Autonomous Agent、AWS Security Agent、AWS DevOps Agentという3つの「Frontier Agents」の発表でした。

Frontier Agentsは、従来のエージェントから一歩進んだ新しいクラスのエージェントで、3つの特徴を持ちます。自律性(目標を指示すると達成方法を自分で決定)、大規模なスケーラビリティ(複数の並行タスクと複数のエージェントインスタンスで作業をストリーミング)、長時間実行(人間の介入なしに数時間から数日間動作)。
これらをKeynoteで解説された時の事例が印象的でした。当初30人の開発者が18ヶ月必要と見積もられていた再アーキテクチャが必要なプロジェクトが、Kiroを活用することで、わずか6人のチームが76日で完了したという話です。
実際に、Keynoteの前日に開催されたワークショップ「Rapid prototyping with Kiro CLI (ARC308-R)」に参加して、Kiro CLIを使ってみました。要件定義、ユーザーストーリー作成、インフラ設計、開発、テスト、デプロイまで、マルチエージェントが各フェーズを実行します。私がやったことは、エージェント毎に業務の定義をjsonでまとめ、エージェントにコンテキストを追加しました。エージェントがコンテキストに沿ったチェック項目を作成し、順番にKiroから提案される選択肢から選ぶだけで、完全に動作するアプリケーションがAWS環境にデプロイされました。

Kiro CLIからKiro Autonomous Agentへ
ワークショップで使ったKiro CLIは、まだ人間の選択を必要とする対話型のツールでした。しかし、CEO(最高経営責任者)のマット・ガーマン氏がKeynoteで発表されたKiro Autonomous Agentは、これをさらに進化させたものです。
Kiro Autonomous Agentの最大の違いは、人間からのフィードバックを記憶し、次の作業に活かせる点です。例えば、最初のプルリクエストをレビューして「このエラーハンドリングはもう少し詳細に」とコメントすると、エージェントはそのフィードバックを理解し、残りの14個のプルリクエストでも同じ改善を自動的に反映してくれます。ワークショップでは毎回私が選択していた部分を、エージェント自身が学習して判断できるようになるのです。セッションベースではなく、作業全体でコンテキストが継続的に維持されます。
さらに驚いたのが、長時間の自律的な作業継続です。ワークショップでは、私が選択肢を選ぶたびにエージェントが次のステップを実行する形でしたが、Autonomous Agentは違います。夜にバックログからタスクを割り当てておけば、チームが寝ている間もエージェントは黙々と作業を続けます。翌朝ログインすると、15のマイクロサービスすべてに対する、テスト実行済みで本番デプロイ可能なプルリクエストが揃っている、という世界です。
つまり、Kiroはリポジトリ全体を理解し、バグ修正や新機能追加を自律的に進める「バーチャルなリードエンジニア」として機能します。ワークショップで体験した「選択式のプロトタイピング」が、「夜間も働き続ける継続的開発」へと進化する。その未来が、もう目の前に来ています!
AI駆動開発ライフサイクル (AI-DLC)
ここで重要なのが、AWSが提唱する「AI駆動開発ライフサイクル (AI-DLC: AI-Driven Development Life Cycle)」という方法論です。従来のSDLC(Software Development Life Cycle)では、AIは補助的なツールでしたが、AI-DLCではAIが開発プロセスの中心に位置します。
AI-DLCの仕組み (引用:https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/ai-driven-development-life-cycle/)
ワークショップでは、こちらのAI駆動開発ライフサイクルを活用していました。 エージェントから質問された内容に答えると詳細をエージェントが設計する流れです。
AI-DLC 3つのフェーズとFrontier Agentsの関係
3つのFrontier Agentsは、このAI-DLCの各フェーズを担当します:
AI-DLCのフェーズ (引用: https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/ai-driven-development-life-cycle/)
- Inception(開発): Kiro Autonomous Agentが計画とアーキテクチャ設計を担当
- Construction(構築): Kiroが設計と実装を行い、AWS Security Agentがセキュリティレビューとペネトレーションテストを実行
- Operations(運用): AWS DevOps Agentがデプロイ後の監視と運用、インシデント対応を担当
つまり、AI-DLCは単なる開発方法論ではなく、3つのFrontier Agentsが連携して開発ライフサイクル全体を自動化するための設計だと私は理解しました。
興味深いのは、AI-DLCでは「人間の監督」が各ステップに組み込まれている点です。AIが詳細な作業計画を作成し、積極的に明確化やガイダンスを求め、重要な意思決定は人間に委ねます。これは、AIが人間を置き換えるのではなく、人間の能力を拡張するという思想です。
実務でエージェントを開発していると、「どこまでエージェントに任せるか」という判断が難しい場面が多々あります。AI-DLCは、この判断基準を明確にしてくれる枠組みであり、Frontier Agentsはその実行主体になりそうです。
まとめ
最近ではClaude Agent SDKなどを使う機会が多いのですが、 今回のFrontier Agentsを活用すればより迅速に検証・開発が行えると思いました。重要なのは初期の段階できちんとエージェントのスコープを定義する事とフィードバックのインプットでしょうか。
他にも気になるAI関連クラウドサービスがありましたので、 またこちらも書いてみたいと思います。
それでは次のブログでお会いしましょう。


