本記事は「Japan AWS Ambassadors Advent Calendar 2023」の23日目の記事です。
インフラ担当の柴田です。昨日の木澤さんの「Amazon CloudFront KeyValueStoreを活用した記事のリリース制御」はもう読みましたか?CloudFront Functions+KeyValue StoreとLambda@Edgeの使い分けポイントなどが分かりやすくまとまっていておすすめです。
さて、皆さん今年のre:Inventはいかがでしたか。気になるサービスはありましたか。Amazon QやAmazon Bedrockのような生成AIでしょうか。私はProject Kuiperが面白そうだなと思いました。 re:Inventでは様々な新しいテクノロジーの発表がおこなわれていますが、AWS re:Invent 2023 - Customer Enablementにまとめられているように、多様性の話や運用の話、イノベーションの話などテクノロジー以外の発表もされています。 今回はその中でもAmazonのイノベーションの文化についてのセッションを紹介しようと思います。
Amazonのイノベーション文化を知る
re:Inventのセッションの中で「INO」ではじまるセッションではAmazon (AWS)のイノベーション文化を知ることができます。AmazonやAWSの話はもちろん、AWSの顧客と一緒に行った事例なども紹介されています。 Amazonのイノベーション文化については「カルチャー」「メカニズム」「組織」「アーキテクチャ」の4つの要素で成り立っているのですが、re:Inventのセッションでは時間の関係で主にカルチャーとメカニズムを紹介するセッションが多い印象です。
AmazonあるいはAWSがイノベーションを起こしているという事実は疑いがないと思います、しかし4つの要素で成り立つAmazonのイノベーションを全て真似するのは難しく、また1つ2つのメカニズムを真似するというのもなかなか成果を出しづらいと思います。 そこで、どのような組織でも役立ちそうな話をしていたセッションを紹介します。
The innovator’s mindset: Building adaptable & resilient organizations (INO103)
このセッションでは、前半はAmazonのイノベーション文化の中でも特にカルチャーとメカニズムについて紹介し、後半にイノベーションの人間的側面としてEQや心理的安全性についての話が紹介されています。 EQや心理的安全性の話は、多くの組織で共通して役立つ知識だと思いますので是非動画をご覧ください。
以下に簡単にご紹介します。
イノベーションとEQ
私たちの活動の多くは感情の影響を受けています。驚くことに90%以上の活動で感情の影響を受けているとのことでした。したがって、感情を上手に活用することでより良い結果を生み出すことができます。
感情を活用する能力をEmotional Intelligence Quotient (EQ)と呼び、日本語では「心の知能指数」と呼ばれています。EQが高いリーダーがチームをより効果的に動機付け、対立を効果的に扱い、新しいアイデアを奨励し価値を認める雰囲気を作り出せることが紹介されました。
イノベーションとストレス
イノベーションや変化を起こすときは「複雑さ」「曖昧さ」「恐怖」「失敗」「恥」といった共通のストレスが存在しそれを避けようとしますが、YerkesとDodsonの研究によるとストレスが存在すること自体は悪いことではなく、適度なストレスがパフォーマンスに良い影響を与えることができると紹介されました。 パフォーマンスが良い適度なストレスの範囲に収まるために役立つのが、高いEQと心理的安全性になります。
心理的安全性と対立
心理的安全性とは、チームメンバーがリスクを冒し、意見を述べ、創造性を発揮することを恐れることなく安全に感じる環境のことです。セッションでは心理的安全性がイノベーションにとって重要であることが強調されていました。 イノベーションを生み出すということは失敗するリスクがあるので、失敗を恐れる組織では頻繁にチャレンジができないためです。 そして、心理的安全性というのは決して、誰もがいつでも居心地が良いとか、意見の相違がないとかではないということです。
セッションでは実際に意見の対立が、少なすぎても、多すぎても良くないことが紹介されています。そして、適度な対立の中にも、タスクに関わる対立は良いものであり、人間関係の対立は少ない方が良いと紹介されています。
まとめ
リーダーシップとチームにおけるEQは、感情を活用する能力を高め、より良い意思決定と協力を可能にします。一方、心理的安全性は、リスクと創造性が受け入れられる基盤を作り、チームがイノベーションに挑戦することを後押しします。これらはどのような組織でも適用できるものだと思います。 セッションでは私が紹介した内容以外にも詳しい内容が紹介されていますので是非一度ご覧ください。
実は去年もEQについてのセッションをご紹介しています。こちらは高いEQが個人にとってどのように役立つかを紹介しています。
明日のJapan AWS Ambassadors Advent Calendar 2023はクマ松さんの「公共システムのコスト見直しのアプローチと調達仕様書への記載事項(AWS Compute Optimizer) vol.1」です。re:Invent 2023のDr. Wernerのキーノートでもコストを意識したアーキテクチャに言及していたように、コスト最適化は今ホットな領域なので楽しみですね。