人生の物語をデザインする - LIFE SHIFTに触れて -

これは フェンリル デザインとテクノロジー Advent Calendar 2022 22日目の記事です。

こんにちは! GIMLE チームの太田です。

突然ですが、私は読書が好きです。

本を読むことによって気づきを得たとき、一気に視野が広がり、自分の可能性を感じて、すごくワクワクします。
本を読んで、学んだことを実践し続け、それが自分の一部になったと感じたときには、感謝と喜びの気持ちが湧き上がってきます。

最近では、「LIFE SHIFT」という本のシリーズに触れる機会がありました。

まだ全てを読み切れてはいないのですが、多くの気づきを得て、少しずつでも実践していきたいと感じたため、今回は私のインプット・アウトプットの一部を書き綴っていきたいと思います。

人生のあり方を設計し直す

「ライフシフト」について考えるために、まずは人生のタイムラインを見直してみることから始めてみます。

以下に、これまでに考えられてきた、人生のタイムラインを描いてみました。

これまでに考えられてきた、3ステージの人生のタイムライン
これまでに考えられてきた、3ステージの人生のタイムライン

このタイムラインは、暦年齢*1を基準にした数直線の上に、「教育」「仕事」「引退」の3つのステージを乗せた構成となっています。
私の親の世代の人々も、大体このような生き方をしてきたのだろうと思います。

近年では、健康でいられる年齢や平均寿命が驚異的なペースで上昇していて、人生100年時代とまで言われるようになりました。
このことは、図の数直線に書かれている暦年齢の基準に変化をもたらします。
単純に言えば、ステージ2の「仕事」の期間が長くなります。

人生において、仕事以外の大切な時間、限られた時間というのはありますよね。
例えば、子どもが赤ちゃんのときに、親として一緒に過ごす時間というのは、限られた大切な時間だと思います。
「仕事」の期間が長くなったとしても、限られた大切な時間というのは長くならないばかりか、人生におけるその時間の価値はより一層高まります。
このように、「仕事の時間」が長くなることによって、「仕事以外の時間」の価値が変わるということも、人生のタイムラインに起こる変化の一つです。

仕事を取り巻く環境も大きく変化しています。
「AI・テクノロジーによる仕事の質の変化」もその一つ。
AIによって代替される仕事、なくなる仕事の話題は、よく耳にしますよね。
逆に、AI・新しいテクノロジーによって、新たに生み出される仕事もあります。

人生のタイムラインに起こる変化
人生のタイムラインに起こる変化

さて、激変を続ける世界の中で、私たちは果たして、この長い「仕事」の期間を耐え切ることができるのでしょうか?
少なくとも、一つの会社、一つの仕事、一つのスキルで生きていくことは難しそうに感じます。
人生における働き方の考えを、根本的に変えていく必要がありそうです。

原書では、人生のあり方を見直し、自分のアイデンティティを主体的に築きながら人生を再計画していくアプローチを奨めています。
「教育」「仕事」「引退」の3ステージを固定して人生を考えるのではなく、学び直しによってステージを柔軟に移行していく、「マルチステージ」を前提として考えるアプローチです。

マルチステージの人生のタイムライン
マルチステージの人生のタイムライン

※ステージ1の教育は目安として義務教育・大学での教育終了後に移行する図となっていますが、ここも人によって変動はあります

実践する上では、「物語」「探索」「関係」の要素に分けて人生を計画していくのですが、今回は「物語」に絞って書いていこうと思います。

人生の物語を紡ぐ

実際に自分の「物語」(自分がどのような未来を歩むのか)を検討する前に、一度その考え方について見ていきましょう。
原書では、人生の物語を紡いでいく際に必要な考え方として、以下が挙げられています。

  • 「年齢」に対する考え方を変える
  • 「時間」に対する考え方を変える
  • 「仕事」に対する考え方を変える

ここでは、「年齢」と「時間」に対する考え方を取り上げて、見ていくことにします。

「年齢」に対する考え方を変える

「年齢」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
大抵の人は、生まれてから何年経ったか、という暦年齢を思い浮かべると思います。

「もう35歳になっちゃったからなぁ……」
「60歳にもなって、今さらどうすれば……」

こんなお話は、あちこちで耳にしますよね。

ところで、上記で「これまでに考えられてきた、人生のタイムライン」を載せましたが、その数直線上に書かれていたのも、暦年齢でしたね。
健康でいられる年齢や平均寿命が上昇していて、数直線上の基準が変化しているのでした。

私も、ついつい3ステージの人生のタイムラインを想像して、暦年齢と老いを簡単に結びつけてしまうことが多いです。
でも、暦年齢による老いの基準が変化しているのに、このような固定観念を持ったまま自分の未来を考えてしまうと、思考の幅が狭くなってしまいます。

自分で自分の未来の可能性を閉じてしまうのは、すごくもったいないですよね。
これを避けるためにも、(3ステージの人生のタイムラインを基にした)暦年齢と老いとの紐つけという、固定観念を払拭する必要があるわけです。

「時間」に対する考え方を変える

寿命が長くなれば、その分人生全体で使える時間も長くなります。
長くなった時間を生かして人生をより良くしていくためにも、時間という概念をどう考えるか、という視点は重要です。

原書では、時間という概念に対する視点を、「丘のてっぺん型」「鳥の目型」の2つの例えを使って説明しています。

どうしても、時間に対する視野が狭くなり、目の前の課題に対応するのに精一杯になってしまうときってあると思います。
これは、時間を「丘のてっぺん型」の視点で捉えているという状態です。
「現在」という丘の上に立っていて、前に未来、後ろに過去があるようなイメージですね。
そのような状態だと、ずっと先にある未来が小さく感じて、「現在」と「近い未来と過去」ばかりが重要に見えてしまいます。

「丘のてっぺん型」の視点で時間を捉えている状態
「丘のてっぺん型」の視点で時間を捉えている状態

一方、時間を「鳥の目型」の視点で捉えると、過去・現在・未来が平坦に並んでいるように見えます。
これは、「現在」と「近い未来と過去」のみではなく、過去・現在・未来すべての時点が等しく重要に感じられている状態です。
鳥のように空を飛んで、人生のタイムライン全体を見下ろしているようなイメージですね。

「鳥の目型」の視点で時間を捉える
「鳥の目型」の視点で時間を捉える

現在や近い未来と過去にだけ視線がとらわれてしまうと、遠い未来の自分が蔑ろにされてしまいます。
その分、未来の自分に対する投資(スキル取得のための学習や、人的ネットワークの構築)をすることも少なくなるでしょう。
寿命が伸び、使える時間が増える中で、未来の自分に対する投資ができないのは、大変もったいないことだと思います。
未来の自分を大切にして、積極的に投資をしていくためにも、「丘のてっぺん型」の視点ではなく、「鳥の目型」の視点で時間を捉える必要があるのです。

私の実践 - 人生の物語をデザインしてみる -

さて、ここでは実際に、私の人生の物語を想像しながら、アウトプットしていきたいと思います。
まずは、現在までの私の人生のタイムラインを作ってみました。

私の人生のタイムライン(現在まで)
私の人生のタイムライン(現在まで)

ステージ1の教育が終わった後、コンビニでアルバイトをしながらIT技術を学んでいました。
ここがステージ2の部分になります。

ステージ2でアルバイトと並行して学び直しをした後は、29歳でシステムエンジニアとして働くステージ3へ移行をしています。

さらに、34歳でクラウドエンジニアとして働くステージ4への移行をして、現在に至ります。

特に意識をしていたわけではないですが、私の場合は、3ステージの人生のタイムラインから少し外れて、すでにマルチステージのタイムラインを歩み始めていたんですね。

では次に、未来の自分の可能性(原書での「ありうる自己像」)を探っていきたいと思います。
前述した「年齢」と「時間」に対する考えを意識しつつ……現時点で思いつく、未来の自分の可能性を書き出してみました。

私の人生のタイムライン(ありうる自己像を追加)
私の人生のタイムライン(ありうる自己像を追加)

直接仕事に関わるところを四角形で、それ以外のところを楕円形で描いてみました。
気になるワードがあるかもしれませんが、ここでは深く触れないでおきますね(*^ - ^*)

さて次は、それぞれの未来の選択肢をタイムライン上に並べて、各ステージを繋げてストーリー仕立てにしていきます。
一旦その妥当性は置いておいて、「こうなるんじゃない?」という直感に従って繋げてみました。
(そのまま繋げると見にくいので、色を変えています)

私の人生のタイムライン(ストーリーを繋げてみる)
私の人生のタイムライン(ストーリーを繋げてみる)

ステージ5、ステージ6に、それぞれあり得るかもしれない未来を配置しています。
もちろん、私が辿るであろうルートは上記の図にあるものだけではないですし、実際に物語を紡いでいく上では、「足場*2」を作ることも必要になってきます。

ここまでで、私の人生の物語を少しずつデザインしてきました。
今回の実践はここまでとなりますが、人生の物語は、一度デザインしたらそれで終わりではありません。
自分の可能性や人間関係、世界の変化に合わせて、継続してデザインし続けていくものだと思っています。

ここから先は、ぜひ本を手に取って、読んで実践してみていただければ幸いです。
私も、人生の物語のデザインを、実践し続けていきたいと思います!

おわりに

以上、今回は、LIFE SHIFTシリーズの内容を基に、少しだけ実践も交えて記事にしてみました。

こうやって静かに自分と向き合う時間は、私にとって貴重な時間。
人生100年時代に、自分だけの物語を紡ぎながら生きていくためにも、大切にしていきたい時間です。

年末年始は、今年を振り返ったり来年の抱負を考えたりする方も多いと思います。
あなたの人生の物語。
ゆっくり考える時間を、作ってみても良いかもしれませんね。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)シリーズ

*1:生まれてから何年経ったか、で数える年齢

*2:原書では、能力・スキル・人的ネットワークが、物語を紡ぐために必要な「足場」とされています